Science 誌に、カオス理論の先駆者として知られる Lorenz の追悼記事が出てゐる。(23 May 2008: Vol. 320. no. 5879, p. 1025)
記事には、かうある。
カオスについては、かう書かれてゐる。
このとほりだとすれば、カオス系では、決定論が成り立つか否かを厳密に実証することはできない。従つて、決定論は一つの作業仮説でしかないことが明確になる。さうした状況にあるにも拘らず、心や脳の働きを論ずるのに、決定論を当然の前提であると考へてゐるやうな人達が多いのは、不思議としか言へない。
ローレンツの著書には、こんな言葉があるさうだ。
We must wholeheartedly believe in free will. If free will is a reality, we shall have made the correct choice. If it is not, we shall still not have made an incorrect choice, because we shall not have made any choice at all, not having a free will to do so.
(The Essence of Chaos (Univ. of Washington Press, WA, 1993), p. 160)
私たちは、心から、自由な意思を信じなければならない。もし自由意思が現実だとすれば、私たちは正しい選択をしたことになる。もしさうでなくても、私たちは誤つた選択をしたことにはならない。何故なら、自由な意思を持たないのだから、私たちは何ら選択をしなかつたからだ。