立派な総理大臣を選ぶために私達にできること

日本の政治の現状に満足してゐる人は殆どゐないだらう。しかし、その現状を変へるために何か具体的な行動を起こした人も、余り多くはあるまい。

この世の中に、放つて置いて自然に良くなるものはない。エントロピー増大の法則ではないが、日々の手入れを怠れば、次第に乱れてくるのが普通だ。

商品やサービスの良し悪しは顧客が決める。日本の家電製品や自動車の品質を高めたのは、こだはりが強いが良いものには金を惜しまない日本の消費者だし、日本で一級の世界の料理を楽しむことができるのは、豊かな自然の食材と長い伝統で、日本人の舌が肥えてゐるからだ。

さうだとすれば、国民が政治を良くするために時間を割き、金を掛けて、何かをしなければ、自然に事態が改善することはあり得ない。

それは分かつてはゐるが、自分に何が出来るのかが分からない、自分一人が何をしても世の中は変はらない、といふのが一般の人の気持ではないかと思ふ。しかし、諦めたら終りだ。

例へば、立派な総理大臣を選ぶために私達に何ができるだらうか。総理は国会議員が選ぶので、国民は誰が総理になるかを決めることは出来ない。でも、何か影響を与へる道はあるのではないか。一つ提案してみたい。

衆議院議員の任期途中に首相を変へた与党には、次の選挙で絶対に票を入れない」といふのがそれだ。

日本の政治を良くするための基本的な条件は、総理が長く務めることだ。毎年総理が変はるのでは、各省の大臣はいつも新米ばかりで、勉強をしてゐるうちに、次の大臣に交代となる。官僚も、間もなく辞める大臣の言ふことなど聞かない。自分の人事を決めるのは次の大臣なのだから。

さて、上記の方針で長く続く立派な総理が選ばれるやうになるだらうか。有権者の半数以上がこの方針に従へば、自分の党から出した総理が任期途中で交代すると、議員達は次の選挙で落選確実となるのが大事なところだ。

さうなれば、議員達は、先づ、短期的な人気の高さではなく、四年間の仕事に耐へる実力を持つた人を総理に選ばうとするだらう。次に、一度選んだ総理は、党を挙げて支へようとするだらう。今とは大変な違ひだ。

副作用もあるだらうが、一度試してみる価値はあると思ふ。一人では駄目だが、半数以上の有権者の合意があれば足りる。インターネットが発達した今日、この合意を実現することは、さほど困難ではないだらう。