USBと電源(iFI iUSB3.0賛)

現在のシステムはMacBookAirからaudirvana+で出したデジタル信号をiFIオーディオ社のmicro iDSDでDA変換し、タイムドメイン社のYoshii9で聴くといふもので、Yoshii9の電源にはsamizuacoustics社のパワーラインフィルタを繋いである(初期の製品だけど)。従来、DACにはDevilsoundを使つてゐて、これは素晴らしい製品なのだが、生産中止になつたし最近話題のハイレゾが聴けない。T-Loopさんの試聴会で聴いたDSDの音が気に入つたので、自分でも試してみたいと思ひmicro iDSDに切り替へた。ハイレゾの音源は高価なので、無料や特価のお試し音源などを少し聴いてゐた。

 

そんな折、iFI社がnano iUSB3.0といふ製品を出した。ノイズキャンセルの技術を使ひUSBの電源ノイズを極めて低く保つと共に、USBの信号をリクロックして信号の形を整へジッターを抑へるといふ製品だ。タイムドメインの熱心なユーザーにはDACなどを自作する方々もをられるが、さうしたユーザーのブログで勉強させて貰つた印象では、ジッターの影響は大きいらしい。しかし、自作は無理だ。nano iUSBは、兄貴分のmicro iUSBと比べると出口が1組しかなく、電源ノイズレベルが高く(それでも0.5μVだ!)、アース分離の機能は持たない。しかし値段は半分の3万円程度だ。これならダメでも諦められる額だからと、早速購入。その効果は素晴らしい、の一言。

 

低音のレンジが延びる。しかもタイムドメイン特有のキレがあり弾むやうな低音だ。低音だけでなく、全ての音の鮮度、存在感が一段上がつたと感じる。拙宅のYoshii9は居間のテレビの両側に置いてあるため、両スピーカーの間隔が1.8メートル程あり、その上、横長の部屋の中心から外れてゐるので、これまでは音が広がり過ぎたり、音源によつてはスピーカーの中央から外れたとんでもない所から音がしたり、といつた問題を抱へてゐた。さうした問題も、かなり改善された。

 

嬉しくなつて調子に乗り、iUSB3.0と一緒に使ふと良いといふGEMINIデュアルヘッドUSBケーブルまで買つて仕舞つた。電源と信号を分離して送るといふケーブルだが、決して安くはない代物。だが、付けてみると確かに効果が感じられ後悔はしないのだから、大したものだ。

 

ノイズキャンセルなどの技術を過渡的な信号に適用することには疑問があるが、考へてみると電源はそもそも信号ではなく一定の方が良いのだから、効果があつて当然だ。USBの信号も、一定間隔で0か1が来るのだから、今の技術を以つてすれば整形できても不思議ではない。ともかく、パソコンからUSB経由で音楽を聴いてゐる人には強くお勧めする。タイムドメインMINIやLightより高価だが、タイムドメインからの音が何倍も良くなるのだから、余裕がある人は是非どうぞ。

 

それにつけてもタイムドメインの素晴らしさよ。入力する音が良くなれば良くなるだけ音が良くなる。アンプもスピーカーも、雑音を抑へ色づけしない素直なものだからこそ、信号の良し悪しがそのまま分かるのだ。