2017-05-01から1ヶ月間の記事一覧

『ゲンロン0 観光客の哲学』を巡つて 4

『ゲンロン0』を読んで勉強になつたことの一つは、政治の本質とは「友敵理論」であるといふ考へがあるといふことだ。それも有名な政治学者カール=シュミットの説だといふ。政治を経済や倫理と峻別するために考へ出されたものだとの事。純粋に政治的な現象…

『ゲンロン0 観光客の哲学』を巡つて 3

これまで述べたやうに、日本人に哲学が身近でないのは、元々が西洋からの輸入物であり、それを受け入れるための文化的な基礎が、明治維新や敗戦の混乱で失はれたからだらう。 他方で、現在の哲学といふ学問のあり方にも、欧米を含めて、大きな問題がある。一…

『ゲンロン0 観光客の哲学』を巡つて 2

『ゲンロン0 観光客の哲学』は、哲学書なのに読み易いといふ評判だ。では、普通の哲学書は何故読み難いのか。 一つには、言葉の問題がある。哲学には「存在」、「本質」、「概念」、「表象」などといつた耳馴れない言葉が出て来る。これは哲学用語の大半が翻…

『ゲンロン0 観光客の哲学』を巡つて 1

東浩紀氏の『ゲンロン0 観光客の哲学』を面白く読んだ。その内容については、何度か読み返した後で言ひたいことがあれば言ふつもりだが、取り敢へず、読みながら考へたことを書いてみる。先づは、今日の日本における哲学の欠落について。 哲学とは何か、いろ…