2020-07-01から1ヶ月間の記事一覧

ベルクソンと量子力学

ベルグソン(1859-1941)の哲学と量子力学との関係については、小林秀雄(1902-1983)が『感想』と題されたベルクソン論の中で取り上げてゐる。引用の多い『感想』の中で、これは独創的な部分ではないかといふことを他の場所に書いたことがあるが、調べて見ると…

中江兆民にとつての哲学(承前)

兆民の哲学は『続一年有半』で窺ひ知ることができ、唯物論的なものであると書いたが、少し詳しく見ると、単純な唯物論ではないところが面白い。 精神とは本体ではない、本体より発する作用である、働きである。本体は五尺軀である、この五尺軀の働きが、即ち…

中江兆民にとつての哲学

中江兆民(1847-1901)が、『一年有半』の中で「日本に哲学なし」と言つたことは良く知られてゐる。兆民の念頭にあつた哲学とは、どのやうなものなのだらうか。 わが日本古より今に至るまで哲学なし。本居篤胤の徒は古陵を探り、古辞を修むる一種の考古家に過…

カール・シュミット『政治的なるものの概念』

今朝の朝日新聞の大澤真幸氏による連載コラム「古典百名山」にカール・シュミット(1888-1985)の『政治的なるものの概念』が取り上げられてゐた。シュミットはここで敵と友の区別が政治の本質であることを主張してゐる。 政治的なものとは何かを定義するため…

御進講録

『御進講録』といふ本がある。吉川幸次郎(1904-1980)の師である狩野直喜(1868-1947)が大正天皇、昭和天皇に御進講した際の原稿を整理して1984年に出版されたものだ。「尚書堯典首節講義」「古昔支那に於ける儒学の政治に關する理想」「我國に於ける儒學の變…