2008-05-01から1ヶ月間の記事一覧
ジェイムズ(William James, 1842-1910) の"The Will To Believe and other essays in popular philosophy" は、自由意志に関する論文や講演を集めたものだが、その中の一つ、"The Dilemma of Determinism" の最初の部分に次の一節がある。(Dover edition, p.…
朝日新聞の土曜版に、地雷除去機を開発した雨宮清さん(61歳)の話が載つてゐる。テレビのコマーシャルで見た人も多いだらう。日立のやうな大きな会社で、よくあんな変はつた製品が開発できたものだと思つてゐたが、関連会社である山梨日立建機が開発した…
Economist 誌の Obituary は、いつも興味を持つて読んでゐる。今回は、Irena Sendler(旧姓 Krzyzanowska)だつた。 ポーランド女性で、ナチス占領下のワルシャワのゲットーからユダヤ人の子供約2500人を脱出させた。ドイツ人への感染をおそれたナチスか…
エコノミスト誌に、頭の良くなる薬の話が載つてゐる。 Smart drugs これらの薬は、精神を刺激し、中毒性がある。利用者に拠れば、集中力が増し、疲れが減るといふ。しかし、高揚状態は長続きせず、中毒患者は、量を増やしながら薬を飲み続けなければならない…
Nature Reviews Neuroscience に、「我々が意識するよりも10秒も前に我々の行動は決定されてゐることを示唆する」研究が紹介されてゐる(June 2008, pp410-411)。fMRIで脳をスキャンしながら、被験者に、右か左の人差し指のどちらかを自分で決めてボタ…
『文藝春秋』六月号に、「「KY」が日本語なんて・・・」と題して、大野晋、丸谷才一、井上ひさし三氏による「言葉をめぐる憂国鼎談」が載つてゐる。オバマ候補と比べながら今の日本の政治家の語る力の無さを叱り、カタカナ言葉の濫用やお笑ひタレントの隆…
非欧米人蔑視の話といふ脇道に逸れて書き切れなかつた部分の追加。 ジェームズは、production 説と transmission 説とを比較して、前者の立場からする反論や、後者の優位性についても触れてゐる。 production 説からの反論として挙げられてゐるのは、この説…
William James "Human Immortality"を読む。"The Will To Believe"といふ本を買つたら、後ろについてゐた著作なのだが、George Goldthmait Ingersoll といふ人の遺言に基づいて作られた The Ingersoll Lectureship on the Immortality of Man といふ名のハー…
計見一雄さんの『脳と人間 大人のための精神病理学』に、ベルクソンが「現在の思ひ出と誤つた再認」の中で述べてゐる、失語症や麻痺のやうに一見して能力が欠けてゐることが分かる病に限らず、妄想、固定観念のやうな病の場合でも、積極的なものはない、とい…