IV-3 今ここに生きる

臨死体験の科学的な研究

臨死体験と呼ばれる現象がある。三途の川が見えたり、横たはる自分の姿を空中から眺めたりといつたオカルト的な体験なのだが、さうした体験をする人がゐることは、事実として認められてゐる。 ネットでも、たとへば次のやうな真面目な研究の結果を見ることが…

全てを知ることはできるか

人は何でも知りたいと思ふ。自分が生きてゐる「今、ここ」を超えて、その外側の世界を知らうとする。答へが得られるか否かに関はらず、自分が生まれ落ちたのはどのやうな世界なのかを考へずにはゐられない。世界の果てはどうなつてゐるのか、死んだらどうな…

中江兆民にとつての哲学(承前)

兆民の哲学は『続一年有半』で窺ひ知ることができ、唯物論的なものであると書いたが、少し詳しく見ると、単純な唯物論ではないところが面白い。 精神とは本体ではない、本体より発する作用である、働きである。本体は五尺軀である、この五尺軀の働きが、即ち…

中江兆民にとつての哲学

中江兆民(1847-1901)が、『一年有半』の中で「日本に哲学なし」と言つたことは良く知られてゐる。兆民の念頭にあつた哲学とは、どのやうなものなのだらうか。 わが日本古より今に至るまで哲学なし。本居篤胤の徒は古陵を探り、古辞を修むる一種の考古家に過…

日本の哲学

フランスのラジオ放送局 France Culture で日本の哲学に関する放送を流してゐた。「哲学への道」Chemin de la Philosophie といふ番組で、4回の放送は、それぞれ次のやうに題されてゐた。 1) サムライの倫理 L'éthique des samouraïs 2) ロラン・バルト「表…

その行ひは誰の為か

フランスの放送局 FRANCE Culture が Les Chemins de la philosophie といふ番組を放送してゐて、その内容はPodcastでも聴くことができる。先日、「それが君の運命だ」といふテーマで4日間にわたり放送があり、最後の回は"Les vies du karma"と題してMarc B…