追悼

山崎正和(1934-2020)

山崎正和氏が亡くなつた。 鼎談書評 山崎氏を知つたのは、1980年代前半に文藝春秋に連載されてゐた「鼎談書評」といふ記事だつた。丸谷才一(1925-2012)、木村尚三郎(1930-2006)、山崎正和の三人が、それぞれの推薦図書を持ち寄つて、意見を交はすといふ趣向…

木田元(1928-2014)

木田元さんが亡くなつた。現代に生きる哲学者として、最も信頼すべき人の一人だつた。 哲学者でありながら『反哲学』などといふ題の本を出すところが、いかにも木田さんらしい。しかも極めて真面目な発言なのだ。 人生観とか世界観とか道徳思想とか宗教思想…

丸谷才一(1925-2012)

丸谷才一氏が亡くなつた。そもそも余り小説を読まないこともあつて、氏の小説の良い読者ではなかつたが、その評論からは多くのことを学んだ。 最初に丸谷才一といふ人に注目したのは、1980年代前半に文藝春秋に連載されてゐた鼎談書評を読んだ時だ。丸谷…

Steve Jobs (1955-2011)

アップル社の創業者スティーブ・ジョブズが亡くなつた。享年56。ホワイトハウスのツイッターにこんな言葉が載つてゐた。POTUS: とあるのでオバマ大統領自身の言葉だらうか。 There may be no greater tribute to Steve's success than the fact that much …

Economist 誌の死亡記事

Economist 誌の死亡記事(Obituary)を、いつも興味深く読んでゐる。その人選は独特で、書きぶりも洒落てゐる。かうした記事のスタイルを作つたのは、Keith Colquhoun といふ人ださうだ(どう発音するのだらう?)。今年の7月15日号の同誌で、ご本人の死亡記事…

加藤周一(1919-2008)

昨日、午後、加藤周一さんが亡くなつた。享年89。 加藤さんの本で、最も読まれたのは何だらうか。作品としては『日本文学史序説』を一番に挙げるべきなのだらうが、売れた数では、『羊の歌』と、案外、『読書術』かも知れない。 この二つは、特に学生の頃…

大野 晋(1919-2008)

大野晋さんが、今朝、亡くなつた。八十八歳といふ年齢ではあるが、新しい仕事にも取り組んでをられただけに、残念である。数々の業績を残された方だが、先づ、二十年近くの歳月をかけて作られた『岩波古語辞典』が挙げられよう。その「序にかえて」には、次…

Edward N. Lorenz (1917-2008)

Science 誌に、カオス理論の先駆者として知られる Lorenz の追悼記事が出てゐる。(23 May 2008: Vol. 320. no. 5879, p. 1025) 記事には、かうある。 デカルト流の決定論的な世界観には、20世紀の初頭、最初のひびが入つた。アンリ・ポアンカレが三体問題…

Irena Sendler (1910-2008)

Economist 誌の Obituary は、いつも興味を持つて読んでゐる。今回は、Irena Sendler(旧姓 Krzyzanowska)だつた。 ポーランド女性で、ナチス占領下のワルシャワのゲットーからユダヤ人の子供約2500人を脱出させた。ドイツ人への感染をおそれたナチスか…