2008-09-01から1ヶ月間の記事一覧

川勝平太『日本文明と近代西洋』

川勝平太(1948-)氏の『日本文明と近代西洋』(1991)を読む。良く知られた人であるやうだが、迂闊にして、これまで読んだことがなかつた。 第一部 日本と西欧の併行的「脱亜」 - アジア文明圏からの自立 がおもしろい。木綿の西方伝播とイギリス産業革命、木…

さぼる脳

計見一雄さんの『脳と人間』を、ときどき取り出しては、少しづつ読み進めてゐる。現実の症例をいくつも見て来た臨床医の言葉だけに、重みがある。 精神病棟には、不思議な若々しさを保った患者が何人かいる。症状はさまざまだが、ようするに過去のままなので…

明日の医療

13日の朝日新聞土曜版 be on Saturday Business の「フロントランナー」欄に、JA長野厚生連 佐久総合病院の医師、色平哲郎(いろひらてつろう48歳)氏が紹介されてゐる。次のやうな人だ。 医療を現場から再生しようと奮闘する医師がいる。長寿と低医療費…

真つ当な仕事-専門家の責任

最近、建築物の耐震強度偽装、食品の品質表示偽装といつた話が目につく。かうした酷い仕事をして世間に迷惑をかけた経営者等は、「競争が厳しい中で、会社を潰さないためには仕方がなかつた」といふ類の言ひ訳をする。どうも、彼等には、世の中で仕事をする…

「新・東京裁判」

十月号の文藝春秋に、「新・東京裁判、国家を破滅に導いたのは誰だ」といふ座談会が載つてゐる。この雑誌は、最近、太平洋戦争に関する座談会を何回か掲載してゐるが、今回のは、それらの集大成といふ観がある。多様な視点からの検討が行はれてをり、内容も…

人工知能は可能か

8月14日号の Nature 誌に、Andrew Hodgesによる、Ernest Nagel & James R. Newman "Gödel's Proof"の書評が載つてゐる。In Retrospect と題された、新刊ではなく、以前に刊行された名著を紹介する欄だ。この本は、ゲーデルの不完全性定理について解説した…