2006-01-01から1年間の記事一覧

構造の出現

高次の構造が生まれるためには、それまで存在しなかつた(あるいは弱かつた)関係が基礎として必要だ。交通の発達で分業が進むといふのは、その一つの例だ。生物の場合には、例へば、多細胞生物の細胞間での反応がそれだ。これがなければ多細胞生物は一体性…

覚えてゐるとは

哲学者達が好んで提出する疑問に、覚えてゐるといふのは何を覚えてゐるのか、といふものがある。一人の人間でも、正面を向いた顔もあれば横顔もあり、笑顔や泣き顔、走る姿や座り込んだ様など、千変万化である。そのどれを覚えてゐるといふのか。 これは、単…

知能指数

Linda S. Gottfredson "The General Intelligence Factor" (The Scientific American Book of Brain所載)を読む。"factor g"などといふもつともらしい概念を持ち出してはゐるが、For most purposes, these inpurities make no difference, and g and IQ can …

意識と記憶、知覚の統合

人は、意識に上らなかつたものを覚えてゐることがあるだらうか。 意識するとは、覚えるための条件であり、思ひだすことの条件で ある。むしろ、思ひだすことそのものではないか。 脳の中では我々が直接には知ることがない作用が絶え間なく生じて ゐる。色を…

タテ社会と職人

中根千枝『タテ社会の人間関係』を読む。立派な本だ。 何故、日本にタテ社会が生まれたか。タテ社会とは村社会で あり、要するに日本が人の出入りのない、閉ざされた村で あつたといふことだらう。 同じ顔ぶれの人達と一生を暮らすことが前提となる。大切 な…

知行合一

知ることと為すことは同じだと、Maturana と Varela が言つてゐる。 "All doing is knowing and all knowing is doing." (The Tree of Knowledge p.27) まるで、陽明学の知行合一だが、ここでは認識と道徳的実践とが一致 すべきだといふ道徳の議論をしてゐる…

問題の在り処

問題はどこにあるか。 台風の性質を調べようとする科学者は、何を見るか。木星や土星の位置か。 水素原子内の電子の動きか。水の分子の構造か。 何を見るにしても、適当な階層といふものがある。それは、見る対象の 性質によるので、一概に決められるもので…

クオリア

何故クオリアが問題になるか。 人間に与へられたものが、質的に異なるものであることは確かである。 さうでなければ、それをものとして区別することができなかつただらう。 量の違ひとして捉へられるものもあらうが、質の違ひは欠かせない。 であれば、それ…

身体性認知科学

今朝の朝日新聞の書評で知つたのだが、身体性認知科学といふ学問があるのださうだ。ウェブで検索してみると、こんな本も出てゐる。 知の創成 ―身体性認知科学への招待― / R.Pfeifer C.Scheier 著 石黒 章夫 小林 宏 細田 耕 監訳 | 共立出版 日本語版の刊行…

Corals fail a test of neutrality

Corals fail a test of neutrality ("Nature" Vol440, 2 March 2006) ecologyのneutral theoryが予測するよりも珊瑚礁の多様性は大きい。 そもそもneutral theoryとは何か。ここ数十年で最もexcitingだとされる この理論は、たった二つの大前提から成り立つ…