2011-01-01から1ヶ月間の記事一覧

決定論と自由意思

科学的な決定論と自由意志との関係の問題について。 世の中に物理法則があることは、疑ひない。ニュートンの法則、相対性理論、波動方程式等々。これらの法則は、いづれも初期値が与へられれば、t 時間後の状態を示すことを可能にする(その他の条件が不変な…

加藤嘉一の「脱中国論」

日経ビジネスOnlineは、登録すれば無料で見られるサイトだが、良い記事を掲載してゐる。その一つが加藤嘉一の「脱中国論」だ。1月12日の記事は、「“優越感”から脱却しよう」と題されてゐる。その末尾の部分に、かうある。 筆者は2008年、日本の国会議事堂…

精神医学研究の新しい手法

昨年3月の"Science"誌に、精神医学研究の新しい手段についての記事が出てゐた("The future of psychiatric research: genomes and neural circuits" 26 march 2010 Vol 327 pp 1580-1581)。ゲノム解析と神経回路の分析の二つがそれだ。 ゲノム解析: 解析が…

Sensation と Action

Nicholas Humphrey の"Seeing Red, A Study in Consciousness"の面白い点は、前回書いたもの以外にもある。例へば、生物が外部からの刺激やそれに対する自分の反応がどうなつてゐるかを知るには、身体を動かすための命令信号をモニターするのが簡便であり、…

自惚れと見栄

自分が成功者だとは思はないが、年の初めの自戒として、アラン(1868-1951)のプロポから(1921年9月9日)。 今は引退した、ある有名なバイオリン奏者で、多くの優れた点の中でも常に正確な音を出すといふ特質を持つてゐた人が、バカンスを過ごしたイタリアから…