2008-06-01から1ヶ月間の記事一覧

BMIの倫理問題

本日付の朝日新聞朝刊、科学欄のコラム「探求人」に、慶應義塾大学理工学部で Brain Machine Interface (BMI) を研究してゐる専任講師の牛場潤一さんが紹介されてゐる。BMIは、運動神経を傷つけられた障害者の脳波を取り出し、その信号を使つてロボットの腕…

ベルクソンの自由観

ベルクソンの"Essai sur les données immédiates de la conscience" (邦訳『時間と自由』)を読み返してみると、自由に関する重要な論点が目白押しだ。やはり大した学者である。例へば、以下の部分(Œuvres p. 109)。 Que si, au contraire, il prend ces état…

多田富雄さんによる日本の四つの特徴

朝日新聞のコラム「聞く」に、多田富雄さんの話が連載されてゐる。多田さんは、世界的な免疫学者であり、多彩な趣味でも知られる。2001年に脳梗塞で倒れた後は、ご自身の経験を踏まへて、福祉行政に対する強烈なメッセージを発し続けてをられる。 けふの…

ADHDと漂泊の詩人

Economist 誌の科学技術欄に、ADHDと遺伝の話が出てゐる。Attention Deficit / Hyperactivity Disorder 注意欠陥・多動性障害は、落ち着きが無く、じつと座つて人の話を聞くことが苦手であるといつた特徴を示す障害で、学校では「困つた子供」になる場合…

Edward N. Lorenz (1917-2008)

Science 誌に、カオス理論の先駆者として知られる Lorenz の追悼記事が出てゐる。(23 May 2008: Vol. 320. no. 5879, p. 1025) 記事には、かうある。 デカルト流の決定論的な世界観には、20世紀の初頭、最初のひびが入つた。アンリ・ポアンカレが三体問題…

カシミール効果

5月22日号の Economist 誌にカシミール効果の話が出てゐる。記事は、かう書き始められてゐる。 無から何かが生まれ得るか。哲学者達は何千年もこの問題を議論してきたが、物理学が答をもたらした。それは、然り、といふ答である。 カシミール効果とは、量子…