COVID-19 についての覚書

COVID-19についての覚書の追加。このブログの運営者は何らの医学的専門知識を有しない者ですから、以下、その前提でお読み下さい。書かれてゐる内容に基づいて取られた行動については、一切の責任を負ひません。専門家のご批判は歓迎。尤も、そんな暇な人はをられないでせうが。

国別の感染拡大速度

Mark Handley氏が発表してゐる国別の感染拡大速度の比較(英文)は、興味深い。欧米諸国の感染は、ほぼ同じパターンで拡大してゐる。暖かい(高温多湿な)地域では感染拡大が緩やかだ、といふ事実も注目に値する。

ただ、ここ2~3日のフィリピン等、いくつかのアジアの国々の動きが気になる。米国フロリダ州でも患者が発生してをり、温暖な地域では感染が広がらないといふのは誤り、との説もどこかで見た。冷房の普及度との関連もあるのではないかと思はれる。

 日本の状況

Handley氏も日本は謎だと言つてをられるが、なんとか踏ん張つてゐる。以前に書いたマスクや手洗ひといつた要因に加へて、握手をしない等の習慣の差も大きいのかも。

厚生労働省日本のクラスター地図(3月15日現在)を発表してゐる。かうしたクラスターが把握できてゐる内は、まだ良い。

日本について、世間には、オリンピックが中止にならないやうに検査数を人為的に抑へてゐるのではないか、といふ根強い不信感がある。個人的には、これは穿ちすぎではないかと思ふ。

検査の問題

そもそも、検査はすれば良い、といふものではない。罹患率(全体の中で感染してゐる人の比率)が低いときには全数検査は害の方が大きいのだ。Hideki Kakeya氏(@hkakeya)がツイッターで紹介してをられる動画での分かり易い説明を是非、ご覧あれ。

感度(実際に罹患している人が検査で陽性になる率)70%、特異度(罹患していない人が検査で陰性になる率)90%の検査の場合、罹患率5%だと、検査して陽性とされる人の4人のうち約3人(!)が実は感染してゐない、といふ結果になる。だからこそ、事前の絞り込みが必要だ、といふ事。

他国との比較

このブログでは、各国の死者数と感染者数との比率をグラフにしてゐる。感染者数といふのは、実際にどれだけの人が感染してゐるか、ではなく、検査で陽性と判断された人が何人かを示してゐる*1

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各国の死者数と感染者数

このグラフで見ると、日本が特別に変な位置にあるやうには見えない。言ひ変へれば、日本の死者数に比べて、感染者数が異常に少ないとは言へない。日本のPCR検査数が少ないことは確かだが、効率的に検査を行つてゐるので、感染者は他国並に把握されてゐる、と言へるだらう。

グラフから見えること

引いてあるのは1%の傾きの線だが、感染が急速に拡大してゐる欧州のいくつかの国々は、これよりも急な傾きの線の上に並んでゐるやうにも見える。病院が混雑して、一時的に死亡率が高くなつてゐる可能性もあるし、検査まで手が回らず、感染者が十分に把握できてゐないといふことも考へられる。

米国は、これまで線よりも高い位置にあつたが、検査が進んで感染者がより正確に把握され、線上に並んだ。死者数の増加は感染の増加よりも遅れるので、比較的最近になつて感染が広がつた国々は線よりも下にあることが多い。

 

 

*1:検査しないと、感染かどうかは分からないので当然だが、この数字には、本当は感染してゐないのだが感染と判断された人が含まれてゐる可能性がある。