COVID-19の不思議

COVID-19については未解明の問題が多い。といふより、殆ど、何も分かつてゐない。

事実として確認できることで、不思議な事の一つは、「先進国」で蔓延し、死者も多く出てゐることだ。中心国や発展途上国での感染はこれから拡大するといふことも十分に予想されるので、現時点での判断ではあるけれど、それにしても先進国が軒並みやられてゐるといふのは、考へさせられる。

ちなみに所謂先進国の中に、厳しい閉鎖などのしつかりした対策も取らないのにそれほど感染が広がつてゐない、をかしな国が一つある。我らが日本だ。これは「やつぱり日本は先進国ぢやなかつたんだ」といふことなのだらうか。

先進国で流行した理由の一つとしては、交流の密度が高いことが考へらえる。新型コロナウイルスは症状が出ないうちから強い感染力を持つことが分かつて来てゐる。知らず知らずに感染を広げて仕舞ふのだから、人々が多く集まり、交流が盛んな場所ほど、感染が拡大するのは不思議ではない。

しかし、巨大都市は中進国や発展途上国にもあるが、これらの場所での感染拡大は、今のところ、それほどでもない。気候の違ひも一つの説明要因かも知れない。もう一つの仮説として、病院の普及といふことがあるのではないだらうか。先進国には病院が多く、日常的に人々が通つてゐる。体調が悪いと検査に行く。さうした場所でウイルスが広がるのだとすれば、先進国で感染が拡大したことも理解できる。

日本の場合、PCR検査の能力が低く、感染病棟も少なく、感染者は全て入院といふ当初の硬直的な運用のために、PCR検査→「感染」確認者増大→病棟満杯といふ医療崩壊の道筋がはつきりと見えてゐたので、医療関係者は声を揃へてPCR検査拡大に反対した。特に、感染率が低い状況で感度のそれほど高くないPCR検査を行ふと、偽陽性つまり実際には感染してゐないのに感染者として扱はれる人達が本物の感染者の何倍も出て来ることが計算から分かるので、PCR検査反対の声は高かつた。実際は病気でもない人達に貴重な感染症ベッドを占領されては堪らない、といふ気持ちは理解できる。

36.5°以上の熱が4日以上続いたら、保健所に連絡する、といふ方法で、その保健所でも意図的に、或いは忙しすぎて、振り分け作業が進まず、多くの人が検査にも行けない状態が続いた。それが結果的には、最大の感染源であつた可能性がある病院に人が集まるといふ状況を防いだ可能性も考へられる。勿論、「怪我の功名」といふやつだけど。