Linda S. Gottfredson "The General Intelligence Factor" (The Scientific American Book of Brain所載)を読む。"factor g"などといふもつともらしい概念を持ち出してはゐるが、For most purposes, these inpurities make no difference, and g and IQ can be used interchangeably.と言つてゐることからも分かるやうに、要するにＩＱを使つた議論である。
それはともかく、ＩＱにより人生が大きく左右されるといふ結論は、当然と言へば当然ではあるが、心が重くなるものだ。勿論、なぜＩＱの低い人でも社会的に成功した人がゐるのか、などの研究も必要だらう。しかし、差があるといふことは否定できないとすれば、どのやうな社会の仕組みにすることが良いかが問ひ直されることにならう。
自由主義に基づいて競争させれば良い、結果が悪いのは本人の問題だ、といふ単純な議論では足りぬ。運も本人の責任だといふ極端な議論も、議論としては有り得ようが、さうした社会は不安定になる。ＩＱの高い人間達の責任が問はれてゐるのだ。
