地雷除去機

朝日新聞の土曜版に、地雷除去機を開発した雨宮清さん(61歳)の話が載つてゐる。テレビのコマーシャルで見た人も多いだらう。日立のやうな大きな会社で、よくあんな変はつた製品が開発できたものだと思つてゐたが、関連会社である山梨日立建機が開発したもので、それも社長の雨宮さんの個人的な努力で作られたものであることが分かり納得した。

1994年に、仕事のついでに足を延ばしたカンボジアで出会つた老婆の「カンボジアを助けて」といふ言葉が耳に残り、開発を決めたといふ。老婆の姿が母上に重なり、地雷除去をやりなさい、と夢枕に立たれたのださうだ。死と隣り合はせの作業だが、「開発を始める時に墓を買ひました。1千、1万の命が救へるなら安いものですよ。」といふ覚悟も立派だ。

得意な物作りの技術を生かし、苦しんでゐる人たちに喜ばれる製品を作る。これほど日本といふ国の良さを生かした国際協力は他に例が少ないだらう。メンテナンスにも力を注ぎ、欧米製の機械の半分が動かなくなつてゐるのに、1号機からすべてが現役だといふのも素晴らしい。