アランの『神々』

加藤邦宏さんが、ウェブにアランの「神々」を読むを連載してをられる。『神々』Les Dieux は、アランが65歳の時に書かれた本だが、彼の代表作の一つだと言へるだらう。小林秀雄の愛読書の一つでもあつたやうだ。郡司勝義さんが、昭和56年に出版された『小林秀雄全翻訳』の解題に、かう書いてをられる。昭和56年は、小林秀雄が79歳の年である。

 

「神々」「芸術二十講」「定義集」など、アランは、小林氏の今日でもなお愛読してやまない著者の一人である。

 

小林秀雄は、ベルクソンから大きな影響を受けた人だが、仕事の性質は、むしろアランに似てゐる。二人とも学問を重んじた人ではあるが、完成した学問体系の研究ではなく、学問の生まれてくる源のところに関心を持つてゐた。大変な読書家で、音楽を愛し、芸術を真理に至る道だと見てゐた。著作の多くは、新聞や雑誌に発表された。晩年に神話に関心を抱いたといふ点も、両者の共通点として挙げられるだらう。アランが『神々』書いた年齢の時に、小林秀雄は『本居宣長』を連載してゐた。